リフティング練習の真価　～成長を促す秘訣～

2025年6月25日

はじめに：なぜジュニア年代でリフティングが必要なのか？

お子さんがサッカーをしている保護者の皆さんへ。リフティングは単調な練習に見えるかもしれません。しかし、その先に子どもたちのサッカー人生を豊かにする大きな可能性が秘められています。

長男の成長と共にジュニアサッカーを歩んできた私の経験から、リフティングの「本当の有用性」をQ&A形式でお伝えします。

Q1：リフティングは「楽しい」練習なのか？「技術向上」のためなのか？

私の率直な意見としては、リフティングは「技術向上のための練習」と捉える要素が大きいと感じています。正直なところ、リフティングの練習は楽しいと感じるばかりではない、というのが多くの選手のリアルな感覚ではないでしょうか。私も息子たちを見ていてそう感じることがありました。

しかし、だからこそ、その「楽しさ」以外の部分、つまり**「何のためにやるのか」という意義を明確に伝えることが重要**だと考えています。

Q2：「楽しくない」リフティングを、子どもはどうすれば継続できるのか？

ここが親としての、あるいは指導者としての腕の見せ所です。鍵となるのは、以下の2点です。

適切な目標を大人が示すこと
意識するポイントをしっかりと伝えてあげること

Q3：具体的に「適切な目標」とは何か？回数を増やすだけでは不十分なのか？

決して回数を増やすことがダメなわけではありません。むしろ、上達を測る上で非常に分かりやすい指標です。しかし、それだけでは行き詰まることもあります。

私が考える「適切な目標」とは、

現在できる回数をもとに、次の回数目標を「高すぎないように」設定すること
- 例えば、5回できるなら次は7回、といったように、少し頑張れば届く目標設定が重要です。この**「高すぎない」目標設定には、大人のきめ細やかな観察が欠かせません**。子どもが今、どのくらいのレベルで、あとどのくらい頑張れば目標に到達できるのかを正確に見極めることで、無理なく、そして効果的にモチベーションを維持させることができます。
上手くいっていないときは、「今日の最高記録から、更に何回伸ばせるか」にフォーカスを切り替えること
- 目標回数に届かなくても、その日のベスト記録を更新することに意識を向けさせます。「今日の最高記録は10回だけど、あと1回だけ粘って11回を目指そう！」というように、その日の中で自身の限界に挑戦し、小さな成功体験を積み重ねることが、子どものモチベーションを保つ上で非常に大切です。「今の自分ができる最高」を少しでも超える感覚が、継続の原動力になります。

Q4：リフティングは技術向上以外に、どんな良い影響があるのか？

ここがリフティングの真価であり、私が保護者として最も伝えたい点です。リフティングに取り組むことで得られるメリットは、単にボールを扱う技術が向上するだけではありません。特にジュニア年代の子どもにとって、以下の3つの側面で大きな成長を促します。

本人の自信につながる
- 練習を重ねてできる回数が増えたり、新しい技ができると、子どもは「できた！」という達成感を味わい、自己肯定感や自信を育みます。
- できないことや回数が少ないことによるマイナスの感情を感じなくてよいのも重要です。「昨日より少しでもできた」「諦めずに挑戦できた」といった小さな進歩に目を向けることで、前向きに取り組めます。
指導者からの評価につながる
- 真面目にリフティングに取り組む姿勢や、実際に上達していく姿は、自チームの指導者はもちろん、外部の指導者も見ています。努力が評価されることは、子どもたちのモチベーションをさらに高め、練習への意欲を向上させます。
- さらに、リフティングの上達は、自チームの指導者に限らず、スポットで参加するサッカースクールイベントや、セレクションにおいても大きなアドバンテージとなります。スクールで名前を覚えてもらえたり、セレクションで他の選手を圧倒するようなリフティングスキルを見せられれば、高い評価に直結します。単に「ちょっとできる」レベルではなく、「明らかに他を圧倒できるレベル」まで高めることができれば、その効果は計り知れません。これは、子どもたちの次のステップへの扉を開く、強力な武器となるでしょう。
正確なキックの技術につながる
- ボールの芯を捉える感覚、足のどの部分で触るか、力の伝え方など、キックの基礎となる繊細なボールタッチと身体の使い方を養います。リフティングで培ったボール感覚は、正確なパスやシュートといった実戦で役立つキック技術の向上に直結します。